LC NewsLine 2013年4月4日号 [英文記事]
■特集記事
ILC技術のスピンオフ
(A spin-off of ILC technology – already)
KEKの超伝導リニアック試験施設(STF)で実施されている、小型高輝度光子ビーム発生装置の逆コンプトン散乱によるX線生成実験で、3月15日(金)、逆コンプトン散乱によるX線と確認できる信号を捉える事に成功した。この技術を超伝導加速器に応用し、X線の生成に成功したのは世界初となる。
小型高輝度光子ビーム発生装置プロジェクトは、文部科学省量子ビーム基盤技術開発プログラムの委託研究「超伝導加速による次世代小型高輝度光子ビーム源の開発」で、5年間の計画。電子ビームとレーザーパルスの衝突による高輝度X線の発生と、医療、生命科学、IT、ナノテクなど、幅広い分野におけるその応用を目指すもの。
「量子ビーム」とは、中性子や光子、イオン等の粒子のビームのこと。「量子力学は、私たちの生活に大きな影響を与えています」と語るのは、同プロジェクトのプロジェクトマネジャーを務めるKEKの浦川順治氏。例えば、量子力学なしにはトランジスターは存在せず、よって、パソコンも存在し得ない。また、もしレーザーがなければ、DVDやブルーレイディスクも生まれなかった。「しかし、私たちの研究は、基礎科学の研究が目的に行われて来たため、研究成果が直接的に応用につながることはなかったのです。このプログラムは、それを変革するものです」(浦川氏)。
光子が自由電子に衝突して自由電子にエネルギーを与える現象を「コンプトン散乱」と呼ぶ。一方で、 相対論的な速度で運動している電子と赤外線や可視光の波長の光子が衝突したときは、 電子のエネルギーが光子のエネルギーよりはるかに大きくなるため、電子が光子にエネルギーを与える。この現象は「逆コンプトン散乱」。逆コンプトン散乱は高エネルギーX線やガンマ線を発生している様々な天文現象においても引き起こされている。同プログラムでは、超伝導加速によって加速した電子ビームを、4枚鏡光共振器に蓄積されたレーザーパルスと正面衝突させることにより、逆コンプトン散乱を起こし、輝度の高いX線を生成する。
逆コンプトン散乱は、高エネルギーX線生成の有望なアプローチであると広く認識されており、ポストゲノム研究やナノテク、原子レベルの構造解析等に役立つことが期待されている。これらの分野で研究が進展することは、産業、医療、セキュリティ等多くの分野での幅広い応用につながる。その実用的な応用の鍵となるのは、X線の高輝度化。その高輝度化を実現する技術が、超伝導高周波(SCRF)加速技術だ。
超伝導加速空洞は、他の加速方式よりも加速勾配が高く、単位長さ当たりで大きな加速を得ることができる。この技術は加速器の大幅な小型化にも寄与し、研究所や病院の一室に加速器を設置することが可能になる。また、超伝導加速は、超伝導状態で加速するため、電力消費も抑えることができる。
KEKは、長年のリニアコライダー研究において、高度な超伝導加速技術が蓄積されている。「超伝導加速では大強度の、非常にバンチ数の多いビームを加速することができる。同時に、消費電力を抑え、高品質なビームを保つこともできる。数多くのビームバンチとレーザーパルスとの衝突によって、逆コンプトン散乱で発生するX線の輝度を直接的に高めることができる。この特徴により、ILCの超伝導加速技術研究は様々な分野での応用が可能になるのです」と、リニアコライダー・コラボレーションのILC部門副ディレクターを務めるKEKの早野仁司氏は言う。今回の成果は、プロジェクト開始前のILCの超伝導加速技術のスピンオフの一例と言うことができる。
今回の成功を導いたもう一つの技術が、4枚鏡共振器だ。4枚の鏡を組み合わせてその光路が中央でクロスするようなリング共振器を構成すると、外から入射されたレーザーパルスを蓄積する事が容易になる。電子ビームとの衝突点のレーザーサイズを絞った時でも非常に高い安定度をもって大きなパワーのレーザーを蓄積できる特徴をもっている。4枚鏡共振器は電子ビームとの正面衝突(ヘッドオン衝突)に応用すると、安定度と蓄積できるパワーとで大きな輝度のX線生成が可能になる。
4枚鏡共振器の技術もまた、応用の可能性を持っている。高品質電子ビームと高出力レーザーの衝突による逆コンプトン散乱から生成する「短パルス・準単色X線」は、医療、バイオ、科学研究分野での応用が行われている。最近、バイオや医療イメージング(X線吸収、屈折コントラスト血管造影など)に使うための200~70000電子ボルトの小型X線源が、非常に重要な役割を担い始めている。逆コンプトン散乱で生成するX線のエネルギーは、電子ビームエネルギーの二乗に比例するため、約0.5から数百万電子ボルトの範囲で高輝度単色ガンマ線の波長可変光源を実現することができる。また、核廃棄物処理においては、核共鳴蛍光(NRF)測定に基づくICS同調ガンマ線を用いて、特定が困難な核廃棄物中の同位体の量を決定することができる。
王は崩御せり..新王万歳!
(Le roi est mort, vive le roi ! (*))
国際共同設計チーム(GDE)は、2006年に骨子を決めたR&Dプログラムを成功裏に完了した。技術設計報告書(TDR)を事実上完成し、それに基づいたコスト評価も行った。そこで、つぎのプログラムに取り組まなければならない。考慮すべき重要な新ファクターが、日本がILCのホストとして手を挙げる可能性が現実的になっている、ということだ。日本における最近の活動は有望であり、この展望に基づいて来るべきILCプログラムを計画しているほどである。まず手始めの仕事は、サイトの選定だ。日本では、夏までの候補地決定が予定されているということだ。サイトの決定により、一般的なサイトを考慮したTDRの設計を実際のサイトに合わせることが可能になる。これは工業設計に向けた展開の第一段階である。
空洞製造に関しては、GDEの世界的なプログラムで大いに成功を修めたが、本格的なクライオモジュールに関する成果は、S1グローバル・プログラムで原理実証がなされたことだけだ。クライオモジュールは高価なものであるため、実規模の製造の実証は、建設プロジェクトでのみ可能となる。幸いなことに、そのような建設プロジェクトのひとつである、欧州XFELがちょうど開始しようとしているところだ。あと数ヶ月で、仏サクレーにあるクライオモジュールの製造ラインが稼働を開始する予定だ。欧州XFELのクライオモジュールはILCと同一ではないものの、十分に類似しており、その製造プロセスはILC計画にとって大きな価値があること。欧州XFELプロジェクトをILCに最大限生かすことが重要であり、これはILCにとって逃すことの許されない最大のチャンスだ。
現在、日本では、ILC建設に向けた考え方として、ヒッグス・ファクトリーとして約250ギガ電子ボルト(GeV)の初期フェーズでスタートし、500GeV重心系エネルギーへと段階的にアップグレードしていく方法が支持されている。TDRは、500GeVをベースラインとし、より高いエネルギーに向けたオプションを持つことを特徴としている。私たちは、低いエネルギーで運転を行う、日本の計画の影響について慎重に評価する必要がある。初期の施設建設コストを、抑えることが可能となるだろう。必要となるクライオモジュールの製造スピードも下げることができるだろうし、うまくいけばプロジェクトの建設期間を短縮できるかもしれない。そして、TDRベースラインで考えなかった加速器やトンネル・レイアウトの選択肢も出てくるだろう。私たちは、段階的な建設プロジェクトの柔軟性を最大限に利用する方法や目的を理解すべく、慎重に事実の分析を行う必要がある。
リニアコライダーはビームが一回通過する装置と定義されており、これまでにない高さのエネルギーとルミノシティを目指していることから、本質的に多大な電力を必要とするものだ。コンパクトリニアコライダー(CLIC)の概念設計報告書研究では消費電力を減らす方法がいくつか考案された。それらの考えのうち興味深いものの1つが「負荷の均衡」である。電力は常に等しい量作られるわけではない(例えば、午前3時は、午後6時より需要が少ない)という見解に基づき、CLICチームは、高い需要のある時間帯に急速に使用電力を減らし、物理学運転になれば迅速に再開するという可能性について調査している。 ILCは低温装置であるため、常伝導CLICほど迅速には運転を止めることはできないが、ILCにとっても消費電力軽減戦略は、将来より詳細な評価を必要とする項目である。
建設プロジェクトについて予測できる範囲で将来を展望すると、私が上記で概説した問題のみならず、例えば価値工学、配置変更など多くの他の問題が表面化する。どのようにして、当面の課題を選択し、優先順位付けするか?これらの(そして、他の)質問に答えるために、私は新しい組織であるILC技術委員会(TB)への参加を、数人の研究者に依頼した。私以外の技術委員会のメンバーは、早野仁司氏(副委員長)、Olivier Napoly氏(フランス原子力庁/サクレー)、Marc Ross氏(米SLAC国立加速器研究所)、Nikolay Solyak氏(米フェルミ国立加速器研究所:Fermilab)、照沼信浩氏(KEK)、Nick Walker氏(ドイツ電子シンクロトロン研究所:DESY)、山本康史氏(KEK)、それにKEK LC計画推進室長(現在山本明氏)である。本グループは、今後3年間のILCプログラムを決定し、それをリニアコライダー理事会とリニアコライダー国際推進委員会に提出して承認を受ける。プログラムは今後数年間の恒常的な世界的活動に基づいて定められる。どのような分野で付加的な活動が必要であるかを示すことも彼らの任務の一部である。独ハンブルグで開催されるLC2013までに何らかの報告を準備できればと考えている。
まぁ、こんなところでよかろう。ILCプログラムの今後の道筋を決めることは、もちろん重要なことではあるが、トラファルガーの戦いのように三本マストのフリゲート艦の砲弾で敵の内臓をえぐり出す、といった冒険物語にはなり得ない。当時のプロジェクトは、だいぶ小さかったが、足りないものは、熱意で埋め合わせをしていたようだ。私たちには同程度のレベルの目的があることを証明できたらと考えている。
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Calorimetry for the High Energy Frontier (CHEF2013)
Paris, France
22- 25 April 2013 -
IPAC - 4th International Particle Accelerator Conference
Shangai, China
12- 17 May 2013 -
Photon 2013
Paris, France
20- 24 May 2013 -
European Linear Collider Workshop (ECFA LC2013)
DESY Hamburg
27- 31 May 2013
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Excellence in Detectors and Instrumentation Technologies (EDIT 2013)
KEK, Japan
12-22 March 2013 -
CERN Accelerator School: Course on Superconductivity for Accelerators
Erice, Sicily, Italy
24 April-04 May 2013
■ニュース記事
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from CERN Courier28 March 2013
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コンパクトリニアコライダー(CLIC)と国際リニアコライダー(ILC) ― 大型ハドロンコライダー(LHC)を補完する次世代計画の2つの研究 ― は、今や同じ組織に属する。
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from Iwate Nippo27 March 2013
北海道東北地方知事会など地方6団体と東北ILC推進協議会は26日、山本一太科学技術担当相や根本匠復興相らにILCの東北誘致に関する要望を行った。山本科学技術担当相は「安倍内閣として方針を定めた上で要望を踏まえて検討したい」と述べた。
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from Kyodo News26 March 2013
宮城県の村井嘉浩知事は26日、内閣府を訪れ山本一太科学技術担当相と会談、宇宙の謎の解明を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を、岩手県の北上山地に誘致するよう要望した。
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from Physics Today24 March 2013
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ほぼ100社の企業が会員となっている、日本の先端加速器科学技術推進協議会が、ILCの実現に向け活発に活動している。「ILCは企業に仕事をもたらします」と、三菱重工のマネージャーであり、AAAの事務局長をつとめる、松岡雅則氏は語る。「このプロジェクトは、日本での技術革新を実現するうえで、非常に重要なものです。」 AAAは、ホスト領域に建設コストのみでも最高220億ドルの資金流入が有ると見積もっている。
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from Voice of America23 March 2013
新たな国際リニアコライダーの技術が米Fermilabで開発されるかもしれない一方、工学物理学者、Elvin Harms氏はILCが承認されてもFermilabでは建設されないかもしれないと語った。
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from Sigma-notMarch 2013
W tej chwili najdłuższym akceleratorem liniowym jest ok. 3 km maszyna w Stanford (SLAC) o energii 50 GeV. Maszyna ILC – Międzynarodowy Zderzacz Liniowy (International Linear Collider) jest jednym z obecnie opracowywanych projektów podwójnego akceleratora liniowego e+e-, o docelowej energii kolizji wiązek elektronowej i pozytronowej ponad 1 TeV. (google translation)
■プレプリント
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Anomaly mediated supersymmetric models and Higgs data from the LHC
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An extra Z’ gauge boson as a source of Higgs particles
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Reconstruction of Inert Doublet Scalars at the International Linear Collider
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Study of Top Effective Operators at the ILC
■今週のイメージ
Lyn Evans氏、日本の安倍晋三 内閣総理大臣を表敬訪問
(Lyn Evans payed courtesy visit to Japan’s prime minister Shinzo Abe)
3月27日、LCCディレクター、Lyn Evans氏は、日本の首相・安倍晋三氏を表敬訪問した。首相は、ILCを全人類のために重要性なプロジェクトと評価。国際協力プロジェクトであることをふまえ、国際的な設計活動の進捗状況を見定めながら日本の役割を検討したいと述べた。表敬の様子は、内閣のウェブサイトで閲覧できる。http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7739.html

















































