ILC NewsLine 2011年6月30日号 [英文記事]
■特集記事
ILD測定器設計オプションで前進
(ILD collaborators make progress on detector design options)
Ties Behnke (DESY) and Roman Poeschl (CNRS/LAL) | 30 June 2011
DBDには、測定器趣意書より現実的なILDコンセプトの詳細と計画が記述されるべきであり、これらはしっかりとした調査結果に基づいた情報であることが必要だ。
今回のワークショップの主な狙いのうちのひとつは、素粒子反応の質量シミュレーションに使われる「シミュレーション・ベースライン」を定義することであった。このベースラインを設定するには、一定レベルの正確さを保ちつつ測定器のモデル化に必要な簡略化を行うという調整が必要である。このベースラインはまた、十分な性能を持つと同時に処理しやすいシミュレーション能力も維持しなければならない。
DBDでは、ILDのサブ測定器のオプションが対等に提示されることになっている。DBDの時点までに、測定器の各構成要素は、その実現可能性が実証されているであろう。そして、その時点でテストビームを使って性能が実証された構成要素が「オプション」であると考えられており、技術的な進捗状況に遅れが見られる代替オプションとは識別されている必要がある。現時点では、ILDは技術的選択を行わず、オプションや代替オプションの選択の幅を広く維持していくつもりだ。この考えは、DBDの基本原理とも言うことができ、Ties Behnke氏(ILD共同運営委員会メンバー)が結びのことばの中で強調した。
ワークショップは、日本で3月に起きた大災害が、リニアコライダー研究全般と特にILDコンセプトに向けた研究を続行する日本の研究者の意志を弱めることがなかったことを示すものとなった。このことは、日本の研究者が今回のワークショップで強力な役割を演じたことはもちろんのこと、山本明氏の貢献によって最も強調されるだろう。山本氏は日本における加速器のサイト選定に向けて進行中の活動をまとめ、報告を行った。
最後に、今回のワークショップでは、その定義がわずかに修正されたものの、ILDのソフトウェア・ベースラインも決定された。アナログとデジタル、2つのハドロンカロリメータ・オプションについて、公平にサポートする野心的な計画を続行することが決定された。両オプションは、同等に扱われる、シミュレーションが行われることが確認された。これは両テクノロジーにおいて、ここ数年にわたり行われた膨大な研究や進歩を反映する結果だ。それらの努力により、両オプションをILDの有効なオプションとして提案することが可能となったのである。
[英文記事]
ロング・バンチ・トレインに急げ
(All aboard the long bunch train)
ワークショップでは、非常に高品質な粒子ビームの生成を究めるための「ロング・バンチ・トレイン研究」分野における進捗について分析を行った。今回で第2回となるワークショップは、ILCとDESYの自由電子レーザーFLASH向けのビーム研究をカバーした。研究者らは、ワークショップでビームを安定させるために何が必要か検討した。ビームはおおよそミリ秒のパルス長を持つもので、このわずか「ミリ秒」が「ロング・バンチ・トレイン」の「ロング(長い)」の意味するところなのだ。
2月に行われた9mA研究テストの結果が発表され、ビームのスムーズなタイミングと加速のために空洞を調整する方法や、大電流運転で空洞がクエンチするのを防ぐのに役立つ方法、最高勾配を成し遂げるために空洞のQ値を修正する方法等について詳細に検討を行った。
「ILC研究者にとってFLASHの価値は、どれだけ誇張してもし過ぎることはありません」と、Carwardine氏は語る。まだ、9mA研究に必要とされる種類のビームを提供することができる施設は、世界中探してもどこにもないのだ。ロング・バンチ・トレインは加速器の超伝導技術の長所であり、ILC、FLASHと欧州XFELを常伝導加速器との差別化が図れる点である。しかし、科学者が実際にその利点を活用することは、ロング・バンチ・トレインを使って加速器を運転することができて初めて可能になる。
他の研究者グループもまた、ロング・バンチ・トレインの有用性を理解している。現在、FLASHのビームタイムの90パーセント以上が、放射光源として運用されており、分子生物学や物性固体物理学など多様な分野の研究に使われている。
「正しく準備すれば、ビームは驚くほど安定します。しかし、簡単なことではありません」と、DESYのSiegfried Schreiber氏(DESYのFLASH施設の運転責任者)は語る。
ILCでは、かなり高いビーム電流が好ましい。ビームは3ナノ・クーロンの電流のバンチ(塊)が連なってできており、1秒間に300万回周回する。その時発生する電流は9ミリアンペア(mA)だ。9mA研究では、FLASH施設を使って、この電流をコントロールするためのテストを行っている。
ILCの研究は、ビーム安定性の改善に向けた研究から、かなりの成果を得て来た。逆に言えば、FELユーザーの多くがロング・バンチ・トレインを要請していることから、ILCプログラムの活動は、FELのユーザー運転にとっても見返りがあると言える。
Schreiber氏は、FLASHのユーザーコミュニティーのおよそ3分の2が高いビーム電流とロング・バンチ・トレインによって何らかの利益を得ると見積もっている。これらのグループに役立つように加速器を調整することは、特定の加速プロセスを理解する、ということを意味する。
「加速プロセスをより理解すればするほど、私たちはさらに性能を改善するためにハードウェアとコントロールをよりグレードアップすることができます」と、Schreiber氏は語った。
「加速器は、実験の一部です」と、Schreiber氏。
第3回ロングバンチトレイン・ワークショップは、来年に計画されており、次回の研究の運転パラメータについて検討される予定だ。
「すべきことはまだたくさんあります」と、Carwardine氏。「ワークショップ会期中に、多くの優れたプレゼンと非常に良い議論がありました。これらは私たちが次に取り組むべき課題を理解し、優先順位をつける際に非常に役に立ちます」
ワークショップには、日本のKEK、英国のラザフォードアップルトン研究所、米国のフェルミ国立加速器研究所、そして、もちろんDESYからの参加者もあり、国際共同設計チーム(GDE)のプロジェクト・マネージャの参加もあった。
第2回ロング・バンチ・トレイン・ワークショップで提示された結果については、引き続き今後のILC NewsLineをご覧ください。
おめでとう、黒川さん!
(Congratulations to Shin-ichi Kurokawa)
ILCのGDEは、ILCの加速技術として超伝導高周波技術を採用するとの重要な決定に基づき、2005年に、ICFAとそのサブ委員会である国際リニアコライダー運営委員会(ILCSC)によって創設された。GDEのマネジメントは、欧州、米州、アジアの領域からの代表者によって構成されており、加速器の技術開発と設計に責任をもつ組織である。
ロルフ・ヴィデレー氏は、粒子加速器で使われているコンセプトの多くを考案したことで高い評価を得ているノルウェーの物理学者である。これらのコンセプトには、ベータトロンと呼ばれる電子の加速に磁気誘導を使う手法が含まれている。ヴィデレー氏は、高周波電場を使っている共振加速の開発も行った。このコンセプトは、粒子加速器の開発の基礎となった。すばらしい科学的経歴にもかかわらず、彼はナチスの協力者となったことから、ノルウェーの市民権を取り消されている。第二次世界大戦後、彼は、がんの放射線療法と、欧州合同原子核研究機関(CERN)での初期の共同研究に取り組んだ。
- Damping Ring Baseline Technical Review
INFN, Frascati, Italy
07- 08 July 2011 - International Europhysics Conference on High-Energy Physics (EPS-HEP 2011)
Grenoble, France
21- 27 July 2011 - The 2nd workshop on SCRF Cavity Technology and Industrialization for the ILC
A satellite meeting of SRF2011
Sheraton Chicago Hotel & Towers, Chicago, IL
24 July 2011 - 15th International Conference on RF Superconductivity (SRF2011)
Sheraton Chicago Hotel & Towers, Chicago, IL
25- 29 July 2011 - Meeting of the Division of Particles and Fields of the American Physical Society (DPF 2011)
Brown University, Providence, Rhode Island, USA
09- 13 August 2011
■ニュース記事
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from The Economist24 June 2011
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シカゴ近郊にある米国最大の素粒子物理学研究所Fermilabから北西への735km(450マイル)にある、ミネソタ州スーダン鉱山に位置している5,000トン測定器に向けて、MINOSは、ミュオン-ニュートリノを打ち込む。6月24日、研究者は、ミュオン・ニュートリノが電子ニュートリノに振動することを確認したと発表した。
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from Science23 June 2011今日、連邦高エネルギー物理学審議会(HEPAP)に提示される研究によれば、アメリカ合衆国で次世代の素粒子物理学研究に不可欠である地下研究所は、12億ドル~22億ドルの間米エネルギー省(DOE)に要求している。
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from EuCARDApril – June 2011加速器が強力になると、構成要素への放射線損傷リスクも増加する。過去の加速ビームは、LHCと他の次世代加速器プロジェクトのビーム今後アップグレードがすることができる損傷をするのに十分なエネルギーを含まなかった
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from EuCARDApril – June 2011鉛は、量子効率がニオブ(伝統的なSCフォトカソードの材料)より10倍大きいため、ニオブを使うより高い輝度と平均電流でビームを発生することが可能だ。
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Associated production of light gravitinos in e+e- and e-γ collisions
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Searches for Lepton Flavour Violation at a Linear Collider
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Phenomenology of the minimal B-L Model: the Higgs sector at the Large Hadron Collider and future Linear Colliders
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Determining R-parity violating parameters from neutrino and LHC data
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KEKの若手研究者(Young scientists at KEK)画像:小林敦子 つくば市内の中学生が、職業体験プログラムでKEKを訪れた。加速空洞内部の欠陥を探すのに、京都カメラを使った。 |















