ILC NewsLine 2011年11月23日号 [英文記事]
■特集記事
より短いバンチを準備する
(Setting the stages for shorter bunches)
Barbara Warmbein | 23 November 2011
ビームライン、ビーム取出しライン、供給管路、最終収束、ソース、ダンプ、トンネル、シャフト、そして、測定器ホールも忘れてはいけない。ILCの中心領域は、にぎやかな場所である。独ハンブルグ市にある、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)で最近開かれた技術レビューにおいて、電子源、陽電子源、ダンピング・リングから主線形加速器への接続、ビーム収束系、加速器測定器インターフェースのようなシステムについての詳細な調査が行われた。これらについて技術見直しを行う主な目的は、来年の技術設計報告書(TDR)に向けた、最良のベースライン設計を定め、コストに関する現実的なアイデアを探し出すことだ。今回のレビューでは、予定を上回る成果が得られた。「基本的に、加速器配列の総合設計と、トンネルへの設置方法について同意しました」と、主催者のNick Walker氏(ILCプロジェクトマネージャ)は語った。「詳細について決着を見ることができたので、予想したよりも早く現実的な設計に取り込むことが可能となりました」
ILCのバンチを圧縮するために考えられる2つのオプションがある。
もう一つの成果は、単段ではなく、二段式のバンチ・コンプレッサーを選ぶという決定だ。バンチ・コンプレッサーは、ダンピングリングと主線形加速器の間に設置される。その名のとおり、バンチを「圧縮」し、ダンピングリングから出た時より、バンチ長を大幅に短くする。よって、より高い衝突頻度を得ることができるため、幅広い物理研究を行うことが出来る。ダンピングリングを出るときのバンチ長は6ミリメートルだが、ベースライン設計では、バンチ長は0.3ミリメートルまで圧縮されなければならない。また、ベースライン設計は、加速器セクションの後にウィグラーを備えたセクションが続いており、これは長さほぼ1キロメートルのかなり巨大なコンプレッサー群だ。これらの2ステージのコンプレッサーを1つのステージにまとめようとする取組みが行われて来た。一つには、いくつかの仕様パラメータが基準設計報告書(RDR)の設計から変わったため、単段が可能になったことと、もう一つは、バンチコンプレッサーセクションが短くなることはコストの節約となるからだ。しかし、今回のレビューでは、二段式バンチ・コンプレッサーの圧縮比は非常に大きいため、ビームの処理と目標ルミノシティの安全マージンにおいて、大幅な柔軟性を確保することができる。この機能よりコスト低減を優先させるべきではないということから、二段式バンチコンプレッサーが採用されたものだ。
レビュー会議のもう一つの重要なテーマは、特に衝突点など、全てのシステムの土木建築設計の必要条件であった。RDRではILC測定器は「プッシュプル」と呼ばれる構造になっており、2台の測定器が交替で衝突点に設置され、データを取得する。そこで、測定器ホールの形状はZ形であるべきとの決定がなされた。軸の中心が衝突点で、Zの両端が測定器の「ガレージ」となるのだ。次のステップとして、測定器ホールに必要となるシャフトの数や、直径、そして、総コストについて決めなければならない。
今回の「中心領域」レビューは、夏に伊フラスカーティで行われた、ダンピングリングについてのレビューに続く、第2回目のILCの広範囲なレビューである。当初、複数回に分けてレビューを行うことが検討されていたが、1回のレビューにまとめることが非常に生産的であった。今後、重要なレビューが2回続く。2012年1月には、日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)超伝導主線形加速器に関するレビューが、そして、3月に欧州合同原子核研究機関(CERN)土木建築設計とサイト選定に関するレビューが行われる予定だ。
symmetrybreakingより:ヒッグスの隠れ家、徹底捜査でも依然見つからず
(From symmetry breaking:Favored Higgs hiding spot remains after most complete search yet)
November 18, 2011 | 5:30 am
黒太線がどこで赤線の下に下がっても、標準理論ヒッグス粒子は95パーセントの信頼水準で除外される。画像:ATLASとCMS実験大型ハドロンコライダー(LHC)のCMSとATLAS実験が発表した、最初の総合的なヒッグス探索結果は、標準理論ヒッグスを追い詰めた。もしそれが存在するならばーー。
今日発表された研究は、以前の分析において報告された、それぞれの実験の測定結果のうちいくつかは除外されているが、114~141GeV間にヒッグス粒子が存在することが示唆されている。ATLASとCMS両実験は、141~476GeV間の領域を、95パーセントの信頼水準で除外した。
この新しい結果は、両実験が7月までに収集したデータを使って、予測されるヒッグス粒子の崩壊現象に関する8つの研究をまとめたものだ。また、125~500GeVの間という、さらにより広いエネルギー領域も除外することができるとしている。しかし、統計変動の結果の可能性もあるし、新しい粒子の存在を示唆するかもしれない小さなエクセスの存在によって、除外範囲は若干狭められている。
「これらのデータから読み取れることは非常に面白いと思っています」と、ワインツマン科学研究所の物理学者Eilam Gross氏は語った。彼はATLAS実験のヒッグス・グループの共同リーダーである。「どんな発見でも、除外できないことから始めるのです」
いくつかの関連測定によって、間接的に、標準理論ヒッグス粒子が低い質量領域に存在すると示唆している。
ほぼ1年にわたって行われた50回以上の会議や多くの交渉は、LHC実験のヒッグス粒子探索に関する最初の統合成果の発表として実を結んだ。両共同研究グループから集まった専門家は、7か月以上の間、データの組み合わせ手順を考案し、結果の統合にむけ、およそ1ヵ月間一緒に働いた。その後、2つの共同研究グループ(各々数千人のメンバーがいる)が結果について検討し、承認するのに、さらに1ヵ月がかかった。
「これは、本当に重要な業績です」と、ヒッグスの組合せグループの共同リーダーであり、カリフォルニア大学サンディエゴ校のCMS物理学者Vivek Sharma氏は語った。「LHCのヒッグス探索結果を結合することは一筋縄ではありませんでした。内部調整は非常に難しかったのです」
7月以降、両実験グループは、2~4倍の量のデータを蓄えた。2012年内にはデータ量を、少なくともさらに二倍にしたいと思っている。
標準理論ヒッグス検索の終焉は間近である、とヒッグスの総合グループの共同リーダーであり、英国科学技術施設審議会のATLAS物理学者Bill Murray氏は語る。「今年のデータからおそらく答えは出るでしょうが、来年には、明確に発表することができるでしょう」とMurray氏は語った。
これまでのところ、ATLASとCMS実験は、2011年の全てのデータに基づく、ヒッグスに関する第2の統合結果をつくるかどうかについては結論を出さなかった。2つの実験は、まだ競争しているのだ。両実験ともに、自分達だけで達成できることがあるかどうか確認するかもしれない。
「これはプロセスを検討する良い機会でした。両実験からの結果は議論の余地の無いものでしたから」と、Sharma氏。「現在、私たちは発見モードにいるのです。次はそんなに冷静ではいられないでしょう」
ILC技術設計報告書への第一段階
(“The GDE must write” – The first steps to the ILC Technical Design Report)
今週のディレクターズ・コーナーは、国際共同設計チーム(GDE)プロジェクト・マネージャー、Nick Walker氏の執筆。
Nick Walker | 23 November 2011
「論文を書き始める時は、あなたが満足に終えた時です。その時までに、あなたが「原稿を書き始める時とは、やっと満足の行くものができあがった時である。その時までには、何を自分が表現したいのか、明確に、論理的に理解できるようになるだろう」 — マーク・トウェイン
「科学者は書かねばならない」は、私が大学1年生の時のある教授の信念であった。彼は、もちろん出版物の重要性についても話していた。2011年も末に近づき、GDE最後の年の計画を立て始めた。「GDEは書かなければならない」は、私が大文字で印刷し、オフィスの壁に貼り付けなければならない標語かもしれない。ILCプロジェクトマネージャは、現在、ILC TDRの執筆に向け全神経を集中している。
今ここで「空白ページ症候群」に悩まされ、書かなければならない大作の執筆について思いをめぐらせていると、Douglas Adam氏作の「銀河ヒッチハイクガイド」の中の有名な「ツクバネアサガオの鉢」のエピソードに通じるー「もう、いい加減にして!」—という感覚を感じざるを得ない。過去に同様の報告書執筆に関わったベテラン研究者の皆さんは、文書の完成までに膨大な作業が必要とされることはよくお分かりだろう。しかし(そして、冗談はさておき)、それは重要な仕事であり、専門的にそして慎重な計画をもって取り組まなければならないものだ。
TDRは、実際には1冊ではなく、複数の本となる。加速器パートでは、2巻にわたる本編と、別冊として要旨の巻の発行を計画している。物理・測定器グループは、2巻の本編執筆を企画している。コミュニケータは6冊目となる広報誌の発行を計画している。これらの完成のために多くの文章を書く必要があることは一目瞭然であろう。
幸いなことに、私たちには2007年に発表したRDRと最近発表した中間報告書(国際リニアコライダー 技術進捗報告書)に基づいて作業を進めることができる。TDRの「第一部:技術設計フェーズR&D」は、過去5年にわたる世界的な全R&D活動をカバーする。この報告書では、GDEがその委任期間中に実施した優れた成果仕事を紹介するつもりだ。中心的な話題は、ILCベースライン設計と超伝導高周波(SCRF)技術インフラ開発に関するR&Dの成果だが、第一巻では、ベースラインに採用されるためにはまだ未成熟だと思われるものの、将来有望である代替アプローチに関する研究成果も含む。第一巻の最後には、TDRを越えた次世代R&Dの方向性、特に超高加速勾配のSCRF空洞のR&Dについて、詳しく述べる予定だ。「第二巻:ILCベースライン設計」は、更新されたコスト評価やスケジュールなど、ILC加速器に関する公式情報を掲載する。これは2007年のRDRの構造と非常に似たものになっている。また、エネルギー・アップグレードとルミノシティ・アップグレードに関する重要なチャプターも含まれている。第二巻では、一連のベースライン技術見直しによって現在承認されているベースライン設計を記述する。これまでのところ、ダンピングリング、ソース、リングから主線形加速器、ビーム収束系は、最近行われた2回のレビュー・ワークショップ(7月に伊フラスカーティで開かれたダンピングリングに関するワークショップと、10月にDESYで開かれたその他事項に関するワークショップ)ではっきりした。主要なコスト推進要因-SCRF主線形加速器、一般施設-は、1月のKEK、4月の欧州合同原子核研究機関(CERN)での会議でそれぞれ対処されることになっている。
プロジェクトマネージャは、頼もしい編集チームを編成し、この挑戦を引き受けた。「技術編集委員会(TEB)」と呼んでいる編集チームは、TDRの各巻毎に3人の編集長から構成されている。第一章は、Jim Kerby氏(米フェルミ国立加速器研究所:FNAL)、早野仁司氏(KEK)、Eckhard Elsen氏(DESY)。第二巻は、Nan Phinney氏(米SLAC国立研究所:SLAC)、峠暢一氏(KEK)、Phil Burrows(英オックスフォード大学)。Benno List氏(DESY)とMaura Barone氏(FNAL)が、技術、データベース、グラフィックス・サポート担当。最後に、私たちはTEBの委員長をJohn Carwardine氏(ANL)に依頼し、TDR活動の企画・計画をまかせた。プロジェクトマネージャを代表し、編集委員会のメンバーに、この困難で、とても重要な仕事を手伝うことに同意してくれたことにお礼を述べたい。
最後に、TDR完成に寄与する、地球上に散らばる全てのGDEチームメンバーに、あらかじめお礼を言いたい。いつものごとく、私たちは一層の努力を求めている。この「大冒険」に貢献してきた皆さんの莫大な量の素晴らしい仕事を反映したTDRをつくるために、皆さんとそしてTEBチームと共に働くことを楽しみにしている。
- WHIZARD - Event Generation for LHC, ILC, CLIC
DESY, Hamburg
21- 23 November 2011 - TESLA Technology Collaboration (TTC) Meeting
IHEP, Beijing, China
05- 08 December 2011 - 5th Annual Workshop of the Helmholtz Alliance "Physics at the Terascale"
Bonn, Germany
07- 09 December 2011 - 2nd International Workshop on Accelerator-Driven Sub-Critical Systems & Thorium Utilization
Bhabha Atomic Research Centre, Mumbai, India
11- 14 December 2011 - SiD Workshop
SLAC
14- 16 December 2011
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from The Guardian18 November 2011LHCでのヒッグス粒子のじらされる兆候は確かめられるか、今後数ヶ月で除外されると、研究者は語る。
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from INFN18 November 2011新たなテストは、最初の測定に影響を及ぼす可能性のある潜在的システム効果の一部を除外するようだ。
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from Reuters16 November 2011水曜日、世界中から集まった物理学者は、ジュネーブ近郊のCERNにあるLHC「ビッグ・バン」粒子コライダーを、2020年までに非常に強力な宇宙研究加速器に変えることを目的とする、重要なプログラムを立ち上げた。
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from Wired Science17 November 2011物理学者が興奮している理由を理解するために、あたりを見まわしなさい:私たちは、ものによって囲まれている。それは明らかなようだが、科学者には何もないことに長いあいだ悩んできた。
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from Physics World16 November 2011…CERN粒子-物理学研究所のLHCb実験は、チャーム中間子で電荷とパリティ(CP)破れの、これまでに最もよい証拠を発表した。
■アナウンス
今週のILC NewsLineは前倒し発行します
木曜日が米国では感謝祭の休暇のため、今週のILC NewsLineの発行を前倒しにしました。来週からは、通常の発行スケジュールに戻ります。
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イリノイ加速器研究センター(Illinois Accelerator Research Center)画像:Fermilab。概念図クレジットRoss Barney Associates and ARUP イリノイ加速器リサーチセンター(IARC)は、加速器研究、教育、産業化についての最新技術の施設を提供する。米シカゴ近郊にある、Fermilabキャンパスに位置し、新たな建物はFermilab、アルゴンヌ、地元の大学と産業の共同研究者から42,000平方フィートのオフィス、科学者のための技術的で教育的なスペースとエンジニアに住宅を供給する。Fermilab Todayの「新プロジェクトを保管するCDFとDZeroビル」の記事もご覧ください。
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