ILC NewsLine 2011年9月15日号 [英文記事]
■特集記事
粒子フローに取り組む
(Going with the particle flow)
粒子フロー・アルゴリズムは、かつてないレベルの分解能でエネルギーを測定するために役立つもので、高性能なプログラミングと高解像度な次世代の粒子検出器をつなぐ役割を果たす。
Leah Hesla | 15 September 2011
a) PandoraPFAアルゴリズムを用いた100GeVジェットの粒子フローを再構成した例。b) 91.2GeVの重心系エネルギーで軽いクオーク(アップ、ダウン、ストレンジ)Zの崩壊で、再構成された総ジェット・エネルギーの分布。画像:Mark Thomson氏
粒子検出器から取得される「衝突イベント」の典型的な画像は、「美しい混乱」である。クモの巣のような繊細な線が、一つの点から現れて無秩序に螺旋を描く。そして、衝突後の飛跡を明らかにする。粒子を区別するうえでは不都合なことだが、飛跡はたいていの場合、複雑なエネルギーの塊のままで、科学者による解析が困難な「粒子が飛び散る跡」を残す。
測定器の中で、それぞれの飛跡と「粒子が飛び散った跡」と正しくマッチングさせるのが、粒子フロー・アルゴリズム(PFA)の狙いだ。PFAはリニアコライダー型の測定器向けに開発されたもの。研究者が測定器の空間分解能を向上させることで、衝突のエネルギーデポジットを解析し、粒子の飛跡をよりクリアなものにする。シミュレーションでは、この手法は、現行の手法よりも2~3倍高い分解能で粒子エネルギーを分解できることを示している。「すばらしい精度でイベントを測定することが可能であり、誰もが認める偉業です」と、米リニアコライダー物理・測定器シミュレーションワーキンググループのリーダーである、米SLAC国立加速器研究所(SLAC)のNorman Graf氏は語った。
研究者は、PFAを実行可能な精度を成し遂げるために、測定器のカロリメータの伝統的な機能限界を押し広げた。
「粒子フローの考え方では、全く違うことをします」と、ケンブリッジ大学のMark Thomson氏(ILD測定器コンセプト分析ワーキンググループ)の世話人は語る。「カロリメータ内の出来る限り小さなエネルギーを測定し、飛跡検出チャンバーから、できる限り多く、そして非常に正確に測定を行うことです」。飛跡検出チャンバー(または、飛跡検出器)は、衝突後の粒子の最初の飛跡を示し、カロリメータは、エネルギーを測定する。カロリメータのエネルギー測定は比較的粗い傾向にあるため、PFAパラダイムでは、電荷をもつハドロン・エネルギーの測定を、測定器の中心すなわち飛跡検出器で行う。飛跡検出器はカロリメータよりかなり良い分解能を持ち、そして、リニアコライダー・タイプは正確に粒子運動量を10,000と1の関係に調整する。運動量測定は、粒子のエネルギー計算に用いられる。
現在では、クラスターを分類するために必要な分解能を備えているため、研究者は測定器で実際の終着点まで微細なトラックの飛跡をたどることができる。そして、最初の衝突から最終的な終焉まで粒子の飛跡を再構成する。「完全に飛跡を残すことのできる粒子のエネルギーは解っています。そのため、私たちに残されたカロリメータで測定すべきものは、飛跡を残さない粒子だけです」と、Thomson氏。
スイスの欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)、あるいは米フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)のテバトロンにある測定器で、稀ではあるが、粒子の飛跡から特定のエネルギークラスターに正確にたどり着くことができたケースがあった。研究者は、カロリメータのあまり正確でないエネルギーデポジットの測定ではなく、高精度の飛跡の運動量測定を用いて測定を行う方が有利だろう。エネルギー・フローと呼ばれるプロトコルは、1980年代にCERNの大型電子陽電子コライダーのALEPH実験向けに、90年代にはCERNのATLASとCMS測定器用に開発が行われた。また、FermilabのテバトロンのCDFとD0測定器もまた、同じアプローチを使っていいる。
「私たちはPFAアプローチを採用し、カロリメータの設計の改良に現在取り組んでいるところです。時々成果が出せる、のではなく常に成果を出すことを目指しています」と、Graf氏は語った。
個々の粒子を再構成するためのPFAに関する研究も進められている。PandoraPFAの開発に携わるのは、ケンブリッジ大学のThomson氏とJohn Marshall氏。アイオワ州立大学のグループは、粒子飛跡を再構成するために、アイオワPFAの開発も行っている。
再構成は、決して単純なものではない。特殊なふるまいをするエネルギークラスターでさえ、どの飛跡とどのピクセルとが結びつくべきかについて、まだ主観的判断をしなければならない。PFAには、パターンを認識し、粒子飛跡のギャップやよじれ、中断、後方散乱、シャワーとループを理解するために10,000行以上のC++が含まれる。一連の技術を用いて、省略や過度のカウントをすることなく、クラスターのあらゆる部分を一意的に明らかにしようとする試みである。
それらの技術には、単一の衝突や一つの飛跡から生じている分裂したクラスターの端にあるエラーを取り除く、といったものが含まれる。飛跡とクラスターのぴったりな組み合わせになるまで、PFAは、いろいろな再構成を行う。
大規模なシミュレーションによって、PFAの効果が証明された。過去数年で、ILCのPFAの可能性は、PandoraPFAアプローチを用いて、決定的に実証された。
「粒子からのシャワーをつかって、カロリメータの中のクラスターを明白に結びつけることができるのです」と、Graf氏。それだけでなく、すべての粒子ジェットとの関連を作ることもでき、粒子エネルギーの管理作業において100パーセントの効率で生み出すことができる。
「当初は、PFAがCLICのエネルギーで機能することに自信はありませんでした。粒子密度があまりに高いようだったので。しかし、昨年ごろから、予想以上にうまくいくことが実証されています」と、Thomson氏。
「PFAを使った測定器設計の可能性はとても広いので、長い間興味を持って取り組んでいます」と、Graf氏は語った。「非常に精密な環境の元、可能な限りの物理学研究を推進できる、素晴らしい測定器を使わないなんて人がいるでしょうか?」
CALICE | calorimetry R&D | detector R&D | particle flow algorithm
[英文記事]
■世界の各地より
壁に光を通す ― テイク2―
(Light through the wall – take 2)
ALPS IIの準備たけなわGerrit Hörentrup (DESY) | 15 September 2011
ALPS IIの据え付け作業は、欧州XFEL完了後に計画されており、最終的にはHERAトンネルに設置されることになる。ALPSの大型バージョンでは、現在の実験の計測精度を高くする計画だ。基本構造は、正面に設置された12台の超伝導磁石と、壁の後ろに設置された12台の磁石だ。これはALPS共同研究グループとアルバート・アインシュタイン研究所ハノーファー、シュテルンヴァルテ・ベルゲドルフ天文台、ハンブルグ大学から参加した研究者にとって、容易なことではなかった。HERAの二極磁石のビームパイプは曲がっているからだ。全ての電磁石を通して光を送るために、そのいくつかは、まっすぐでならなければならない!電磁石に加え、ALPS IIには新しい超伝導測定器、より強いレーザー光、そして非常に複雑な光学構造などをもつ。この最終段階で、ALPSはこの分野における現在の天体物理学実験より多くの精度でアクシオンや他の超軽量粒子を探すことができるだろう。
素粒子物理学:次世代の機会
(Particle physics: opportunities for the future)
Barry Barish | 15 September 2011
素粒子物理学とは何か?私は、この分野を定義することから講演を始めた。普遍的概念としての短い定義は存在しないが、私は根底にある科学目標のむしろ広いハイレベルな定義を好む。私たちが2000年に高エネルギー物理学審議会(HEPAP)のために素粒子物理学の長期計画を立案する際に使った定義は、物質、エネルギー、空間、時間の研究であった。これらの定義からは、多様な研究プログラムが生まれる。どのような定義を好もうとも、この分野は、加速器ベースの実験のみならず、地下での大規模実験や、南極、宇宙で行われる実験など地下実験など、その範囲を拡大して来た。
物理学者が関心を抱いている問題は難解で、解決するためには、新しいテクノロジーや莫大なコストを要する新たな装置を開発する必要がある場合が多い。そのため、この分野には多くの興味深い研究テーマがあるが、どの研究を優先するか選択する必要があるのだ。LHCは、素粒子物理分野の主要課題の多くを解決することができる。DPF会議では、LHCの優れた性能に関する発表があり、2012年末に予定されている加速器の運転停止の前に、大量のデータが収集されることが報告されている。運転停止期間中に、現在加速器の性能を制限している問題を解決する予定だ。
DPFでは、ヒッグス粒子に関する初期の結果が報告された。これらの報告は「かもしれない」という言葉で特徴づけられる。ヒッグスの証拠になる「かもしれない」(あるいはヒッグスが無いという証拠になる「かもしれない」)兆候があることや、たぶん年末まで(または運転停止前までには)問題が解決される「かもしれない」ということだ。新たな対称性や超対称性に関する探索については、これまでは全く成果がなく、これまで実験から、1テラ電子ボルトまで、特定の超対称性粒子の存在可能性が否定されつつある。
新しい素粒子物理学を研究するための多くの魅力的な施設がある。たとえば、次世代の長基線ニュートリノ実験やニュートリノCP非保存の観察まで可能かもしれない地下研究所などがある。他の魅力的な実験領域には、ダークマター探索だ。加速器では超対称性に関する実験が行われ、宇宙、地下でも実験が行われる。
私が特に魅力的だと思うのは、ニュートリノのない二重β崩壊の実験である。この実験では、ニュートリノがそれ自身の反粒子(マヨナラ・ニュートリノ)であるかどうかを調べる事が出来る。大気ニュートリノ質量スケールや太陽ニュートリノ質量スケールにさえ達することが可能な、巨大な測定器を想像することができるだろう。
最後に、将来の私たちの主な実験ツール(高エネルギー粒子加速器)は何であるか知りたい人がいるかもしれな。LHC(あるいは、おそらく補完的なレプトン・コライダー)は、私たちの最後の重要な高エネルギー加速器なのか?私はそうは思わない!粒子加速器の発達を阻害する要因は、物質的要因だ。この物質的要因の排除が、次世代加速器への鍵である。発展途上のプラズマ航跡場加速器の最近の進歩は、特に有望である。
SLACの電子ビーム加速器は、40ギガ電子ボルト(GeV)に到達するのに2マイル(3.22キロメートル)を要するが、ビームベースのプラズマ航跡場加速器を用いた実験では、電子はわずか1メートルの加速でおよそ80GeVまで引き上げられた。レーザー光ベースのプラズマ航跡場加速器に関する他のR&Dで、ビームのエネルギー拡散と発散をコントロールするのに進歩があった。もちろん、私たちが新世代の加速器を予想する前に、長年にわたるR&Dが必要だが、次世代のR&Dプロジェクトは進行中である。
個人的な見解では、素粒子物理学はその性質を変え、そのツールを変えてきたかもしれないが、見通しは明るいままである。私たちには対処すべき多くの基本的な問題があり、それらに取り組むツールの開発を行っている。
- LC11: Understanding QCD at Linear Colliders in searching for new and old physics
ECT*, Trento, Italy
12- 16 September 2011 - Workshop on Forward Calorimetry at Future Linear Collider (FCAL 2011)
VINCA Institute, Belgrad, Serbia
13- 15 September 2011 - CALICE Collaboration Meeting
Heidelberg, Germany
14- 16 September 2011 - Linear Collider Workshop 2011 (LCWS11)
Granada, Spain
26- 30 September 2011 - ICFA Beam Dynamics Mini Workshop on Low Emittance Rings 2011
Heraklion, Greece
03- 05 October 2011
- CERN Accelerator School: Course on Accelerator Physics
University of Chios, Chios, Greece
18- 30 September 2011
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from Physics WorldSeptember 2011中国の高能物理研究所は、世界の主要な素粒子物理学研究所のうちの1つであり、南部にある大亜湾で主なニュートリノ施設の最初の部分を完成させた。[8ページ参照]
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from Physics Today15 September 20112005年まで、KamLAND共同研究グループによる地球ニュートリノの最初の検出は報告されなかった。現在、手元のデータ量は5倍になり、国際共同研究グループは、初の実質的な地球物理学成果についての報告を行った。
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from physicsworld.com12 September 20112つの活動の新たな共同研究グループで、素粒子物理学者、Brian Foster氏とバイオリン奏者、Jack Liebeck氏と協力し、国際的に有名な作曲家Edward Cowie氏と正面から取り組む。
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from Science News9 September 2011加速器が運転停止した後でさえ、テバトロンのデータはもっと言わなければならないかもしれない。
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Frequency Scanned Interferometry for ILC Tracker Alignment
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Imaging Pion Showers with the CALICE Analogue Hadron Calorimeter
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フムボルト教授、Brian Foster氏(Fumboldt Professor Brian Foster)ビデオ: アレクサンダー・フォン・フンボルト財団 国際共同設計チーム・欧州地域ディレクター、Brian Foster氏は、アレクサンダー・フォン・フンボルト教授職の受け手として、DESYとハンブルグ大学での職を開始した。
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